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「未央ー、クリスマスどうすんの?」
放課後に訪れたファーストフード店。がやがやと騒がしい店内で、友人たちとおしゃべりを楽しんでいた佐々倉未央は、そう問いかけられてフライドポテトを食べていた手を止めた。「やっぱ彼氏とデート?」と弾んだ声でひやかされ、美緒の頬が自然と緩む。
「そのつもり。付き合って初めてのクリスマスだから、めっちゃ気合入ってる!」
両手にぐっと力を入れてそう話すと、友人の一人が「羨ましいな、コラ」と、わしやわしゃと未央の髪を撫でまわす。
「いいな。あたしも未央みたいに、イケメン彼氏ほしー」
「高木さんだっけ?年上彼氏だったらデートも豪華でしょ」
友人の言葉に未央は「普通にランチ食べて、買い物行って、イルミネーション見たら帰るだけだって」とジュースに手を伸ばした。
「なにそれ最高すぎかよ」
「普通ってなんだ、普通って」
そんな友人たちの愛のこもったツッコミも、未央にとっては嬉しかった。また写真見せてよね、とせっつかれて「わかったよ」と返しながら、来たるデートに思いを馳せた。
カレシとの初めてのクリスマスデート。
浮かれないはずがない。美容院に行き、デート用に服も新調した。入念にリサーチをして、彼へのプレゼントも用意済み。デートの日の前日にはネイルもして、最高の状態でクリスマス当日を迎える。計画は完璧だった。
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