ヘビ神様の恩返し

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ヘビ神様の恩返し

 それはほんの気まぐれだった。  残り三十分で今年も終わる。あと少しで令和七年。  社会人になったタイミングで独り暮らしもかれこれ十年。  平成生まれだともてはやされた時はとっくに過ぎ、気が付けば来年には三十歳になる。妻も恋人もなく、給料も手取りで二十万そこそこ。趣味はもっぱらサブスクで映画鑑賞。  どうしても観たいと思ったら映画館へ足を運ぶけど、そんな贅沢は年に一回あるかないか。少しでも映画館の気分を味わいたくてコンビニでポップコーンとジンジャーエールや発泡酒を買ってパソコン画面で映画を観る。  週末のささやかな楽しみだ。 「……どうしよっかなぁ」  いつもと同じルーティンで映画を観終わった。でも今日は普段の週末とは違う。大晦日だ。滅多にない連休。寝るのは勿体ない。  でも、もうポップコーンもつまみもない。なにも無しで映画を観るのはつまらない。アパートから徒歩五分のところにコンビニはある。外は極寒だから正直めんどくさい。いつもの俺なら諦めた。  でもなんとなく今日は、外出してもいいような気持ちになった。 「よいしょ」  コタツから足を抜き、半纏(はんてん)のポケットに財布と携帯を突っ込んだ。黒色のネックウォーマーを頭から被る。  せっかくだし、つまみと一緒にみかんや明日の食料も買っておくか。

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