プロポーズ

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驚いて目を剥けば、心外だとでと言うように湊の目が細められた。 「タイミングを見計ってるだけでいつだって俺はそのつもりだぞ」 日菜は違うのかと問われ慌てて首を横に振る。 「ただ再会してまだ半年だから、もう少し先かなって勝手に思ってた」 「日菜はそうだろうけど、俺は実質10年想い続けてたから十分待った方だ」 「うう…」 それを言われると少し弱い。 湊が意識してくれるのはもちろん嬉しい。 けれど本当にさっき言った通りもう少し先だと思ってたから全く心の準備が出来ていなくて今は嬉しさより驚きの方が優ってしまった。 「えっと…」 何からどう言っていいか分からず言葉を詰まらせていると、いつのまにか人気の少ない通りを超えて大通りまで出ていた。 「と、とりあえず家帰ろう!用意したチョコも渡したいから」 「…ん、楽しみだ」 どちらともなく手を繋ぎ、残り数分の帰路を歩いて進んだ。
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