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しばらく閻魔の周りを離れずに天国行きのアピールに余念のない間宮優だったが、ある時からぱったりと現れなくなった。
たかが数多いる死人の一人だ。閻魔はそう思おうとしたが、どうしても、間宮優が頭から離れず、死人たちの来歴書を読んでいても、いつものようには頭に入ってこなかった。
「篁、間宮優はどうしてる。まだ裁定を下していないが」
「間宮優なら、地獄へ向かわせました」
「は!?」
閻魔が立ち上がると、その勢いで机が揺れ、何本かペンが転がり落ちた。
「なぜ!? おれはそんな裁定下してないぞ!」
「他の十王らが決めました」
死後の世界で裁くのは閻魔だけではない。十人の王がいて、閻魔はそのうちの一人にすぎなかった。
「おれ抜きで決めたのか」
「貴方様には決められないという判断です」
「決められるさ」
閻魔は反発してみるが、詳しい来歴書が見られない以上、適切な裁定を下せないのは確かだった。だから他の十王たちに間宮優の詳細を知らないか聞いてみようかと思っていたところなのに。
「決められません。貴方様は来歴書がなくとも、本来、間宮優のことは知っているはず。けれども、お忘れなのでしょう?」

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