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結婚式
僕は今日大好きな人と結婚する。彼女を初めて見たのはまだ僕が高校一年生の時だった。
同じクラスだった彼女は誰にでも優しくよく気がつく女性だった。
僕が彼女を好きになったのは高校一年生だった頃、僕は当時サッカー部で毎日朝練があった。
同じクラスの森裕太とは友達でいつもサッカー部の朝練に一緒に登校していた。
ある日「朝練めんどいよなー」「本当だぜ朝練なくてもいいじゃんっていつも思うよな」「朝早く学校なんて行きたくないよ」「激しく同意」そんな話をしていたら自分達のクラスの窓を拭いている同じクラスの桜井芽衣の姿が目に入った。
「桜井もしかして毎日朝早く来て教室の掃除してるのか?」「何でそんな事してるんだろう?」「とにかく教室に行って聞いてみようぜ」「そうだな聞いてみよう。毎日掃除してるのか?って彼女部活入ってたっけ?茶道部とか?」「さあなとにかく聞いてみるか」2人は自分の教室の1年B組の中に入った。
「桜井さんいつも教室こんなに早く来て掃除してるの?」僕は桜井芽衣に聞いた。
森裕太も聞いた「別に放課後掃除してるんだからこんなに綺麗にしなくても」
その時、桜井芽衣は2人に言った「私、汚いの苦手なのだから綺麗にしてるだけそれに私ね掃除が好きなの。趣味みたいなものだから」桜井芽衣はそう言って笑った。
彼女は次の日もその次の日も毎朝掃除をして教室に花を生けていた。
あとで知ったのだが桜井芽衣の家は華道の名家で桜井も華道部だった。彼女の綺麗好きは学校中で噂になっていた。
お陰で僕が通っていた。杉並高校の1年B組はチリひとつないピカピカの教室だった。
彼女は誰にでも優しく気遣いのできる女性で彼女に告白する男性は多かった。女性にもとても人気だった。でもドラマのように彼女を快く思わない女性が数人いた。
その子達は誰にも気づかれないように彼女に嫌がらせをしていた。
彼女のロッカーに泥を塗ったり彼女のノートを破ったり、僕と同じクラスメイト達は彼女が嫌がらせをされていると知ると彼女を守り彼女に悪さをして来る同じクラスの前島陽子と田村麻友と近藤かなえを注意した。
あの時はほとんどのクラスメイトは彼女を助けたっけなー。
そう言えば高校2年の時も彼女に嫌がらせをして来るクラスメイトがいたっけ?でもいつでも優しい彼女はみんなに守られてたよなー。
僕は今とても幸せだ彼女みたいな綺麗好きで優しい子と結婚できるんだ。
みんなラブレターを彼女に出して断られたんだ。僕は彼女と付き合う事ができて結婚までできてなんて幸せなんだろう。
みんなが祝福してくれる……あの時、僕と彼女の間を取り持ってくれた裕太も式に来てくれた。
裕太は今、友達代表で高校時代のエピソードを話してくれてる。
「おい、あいつ……僕がじっと芽衣の事見てた事まで言ってる恥ずかしいな〜」
芽衣は言った「まあ、いいじゃない森君がいなかったら私と勝己君は一生付き合えなかったかもしれないわよ」
「それもそうだな。裕太に感謝しないとね」
「そうだよ遊園地行こう皆んなでって誘ってくれたのも森君なんだから」
「そうだね」
ただ一つ僕は引っかかる事があった。でも誰にも言ってない。たぶん偶然なのだろうと思う事にしていた。
高校時代彼女に嫌がらせをしていたクラスメイトが今は全員死んでる事を……死因はそれぞれ違っていた。自殺や交通事故や職場の事故だとテレビのニュースで聞いた。きっと罰が降ったんだろう。
僕はこの結婚式の事だけ考えよう。この披露宴が終わったら高校時代と大学時代の友人達と二次会だ。余計な事を考えるのはやめよう。
志村勝己はそう思う事にした。彼女は優しくて可愛いずっと僕の大好きな桜井芽衣だ今日から彼女は志村芽衣になる。
僕はそれだけで充分だ。彼女と結婚できる僕は世界一幸せ者だ。
友人代表の裕太のお祝いの言葉を聞いて僕と芽衣は笑っていた。
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