プロローグ

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プロローグ

双子といえば一心同体のイメージが抜けきれないが、少なくとも私達姉妹にはそれは当てはまらない。 姉である美琴はそれはもう完璧な女だった。 幼い頃から才色兼備を絵に描いたような美少女で、人当たりも良くスポーツも芸事も何をやらせても卒なくこなし、常に周りに人が絶えない人気者。 そんな姉を持ちながら、妹である私、橋本(はしもと)和奏(わかな)はあまりパッとしない容姿をしていた。 二卵性双子だからか私達姉妹は顔がそれほど似ておらず、目鼻立ちのはっきりした美人顔の姉とは対照的に、私はぼんやりとした顔立ちのそれほど印象にも残らない地味顔。 加えて更に何をさせても鈍臭く、勉強だって人の何倍も努力しなければ上にはいけない。 姉の出涸らしのような存在と、心無い言葉を吐く人もいた。 常に華のある姉の後ろに潜む影のような扱いをされれば誰だって自尊心は低くなる。 だから社交的な姉に比べて私の性格はますます内向的になっていった。 そこに更に追い討ちをかけるもう一人の人物が居た。
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