かけがえのないもの

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和奏の優しい声に気持ちが和らぐ。 叶うなら一生このまま触れていたいと柔肌にキスをすれば、和奏はくすぐったそうに身じろいだ。 「和奏、」 「なに?」 「このまま腰、落とせるか」 「へっ?」 一瞬きょとんとした和奏だが、すぐに意味を理解したのか急に慌て始めた。 「えっ、えっ?だって今…」 「また勃った」 「言わなくていいから…!」 和奏の腰に回していた手を解き、つつつ、と腿の裏を撫でる。 「んっ…」 和奏は目を閉じぴくりと震わせると、瞳に涙を溜めながらゆっくりと口を開いた。 これでおわりだよ、そう言った和奏に悪戯な笑みを返し、可愛らしい言葉ばかりを放つ唇を優しく啄んだ。
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