追憶の旅人

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 石川龍二は、日野駅から歩いて5分の場所にあるラフォーレマンションの14楷の角部屋に住んでいる。  外壁は薄茶の磁器タイル張りである。  高校2年の時に飛行機事故で亡くなった両親が残してくれたマンションであった。  両親は成田からフロリダに向かう飛行機に乗った。  ところが飛行機がバミューダ海域上空で、忽然と消えてしまった。  当日は快晴だった。  飛行機の残骸を捜す為に、海上を大がかりな捜索が3日間続いた。  しかし何も発見されなかった。  両親は生きている、と今も龍二は思っている。
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