1512人が本棚に入れています
本棚に追加
「……何をって、残り時間は僅かだから……」
「……僅かだからって、これしか思い浮かばないの?私に命を吹き込んだと言う事は……」
「……そうだ。そうだった……」
「ここにあるわよ」
由紀がスクラップブックと筆ペンを渡した。
『ズダーン……』
『ガタガタ……』
マンションがグラグラ大きく揺れる。
「慌てないで……」
「……分かった」
龍二はスクラップブックを数枚めくって、丸い和紙を出した。
「初めて挑戦するが、成功するかどうか……」
「……何回も試す時間は、もう……無いわね」
「……そうだな」
丸い和紙に筆ペンで、数字を書き込んでいる龍二の手が震えている。
龍二は書斎の方をチラッと見た。
壁が崩れ炎が噴き出している。
「……2回試す時間は、なさそうね」
由紀が微笑みながら呟いた。
「……そうだな」
龍二の手の震えが止まっていた。
「私が30秒だけ時間稼ぎするわ」
由紀が両手を絡み付くように、バラバラに円運動させながら右手を垂直に突き出した。
すると白い光のエネルギーが2人を取り囲むように、渦を巻きながら床から沸き出す。
『ゴオー』
炎が台所をなめ尽くすように襲ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!