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 揺れる炎を見ながら、思い出したのは闇だった学生時代の頃のこと。 『(さとし)、いいバイトある』  高収入短期バイトそんな夢みたいな文字ばかりが並ぶスマホを見せた友人は、秘匿性の高いSNS で成功した報酬を僕に見せてくれた。  あの頃の僕は大学に入り都会で一人暮らしをはじめ、そろそろバイトを探していた時期でもあった。 『穏やかな口調だから電話がむいてるんじゃない?』  友人は用語を使わずに提案してきた。お金に困っていたわけでもない。ただ、世の中と繋がりがほしかっただけ。  こうして僕はかけ子になり、少しずつ成績を上げていったころ逮捕された。  同じタイミングで刑務所に入所してきた兄と慕う有田洋太と会ったのはこの時。  彼は運転手として犯罪に加担してしまったのだ。
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