私の後ろには

幸田さつき

　幸田さつきは今、会社の屋上にいる人生をリセットする為に……思えば、私の人生は辛い事ばかりだった。小学校から中学校までずっと虐められていた。友達もいなかった。遠足も給食もいつもひとりぼっちで過ごしていた。家では可愛くて明るくて甘えん坊で成績優秀な妹ばかり両親は可愛がっている。私の居場所なんて何処にもなかった。　　

両親は私の夕飯だけ作ってくれない。いつも妹と両親だけで外食に出掛ける。私はいつも1人で自分のご飯を作って食べたりカップ麺で済ませる。両親は私が成績が良くないのでいつも幸田家の恥と言って罵った。

お小遣いも貰えず何処にも行くことさえできなかった。妹はお小遣いも充分貰っている為友達とよく出掛けていた。

高校の時、初めて友人ができた。私はバイトしながらその友人とよく出掛けていた。親友だと思ってた。

　それなのにいつの間にか友人は私のバイトで稼いだお金を当てにするようになっていた。
　そしてお金貸してくれと言うようになっていった。当時付き合っていた彼さえもその友人に盗られた。

　私は高校卒業すると頑張ってパソコンの資格を取り大手に就職した。

　家に居場所がない私は会社の近くで1人暮らしを始めた。

そして女性で数人しかいない管理職になった。

私と同じ管理職になった同期の岸辺翔太と私は婚約した。幸せの絶頂期だった。

　来月結婚する予定だった。

それなのに彼は初めから二股を掛けていた。私の妹と同時に付き合っていたのだ。

妹は赤ちゃんができて来月私じゃなく妹と結婚する事になった。

　そして私はショックのあまり仕事でミスをするようになった。

そして管理職から降ろされた。

もう、生きていく意味がない……誰にも愛されない私なんて……もう、ここから飛び降りるしかない……

今まさに幸田さつきは会社の屋上から飛び降りようとしていた。

　まさかここから幸田さつきに幸運が少しづつ近づいて来る事になるとは幸田さつき自身何も知らなかった。