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「あ!…藤次さんダメっ!出ちゃう…止めて、あん!」
「ええで。可愛い。恥ずかしがらんと出し。見たるから…」
「やあっ……あ!あああっ!!」
叫び悶える絢音を背後から抱き竦め、秘所に挿れていた指の動きを少し早めて膣内を掻き混ぜると、彼女は小さく震えて達し、シーツにとめどなく蜜が滴り落ちる。
「…ぎょうさん出たな。ホラ、見てみ?こないに糸引いとる。そんなに良かったんか?なあ…」
「やあ、そんなの見せないで。意地悪…」
秘所から引き抜いた指に纏わりつく蜜を、息も絶え絶えな愛する女の前に見せると、恥ずかしそうに顔を逸らすので、手でこちらに向かせすかさず唇を奪う。
「…ダメ、もう…蕩けそう…好き…」
「おおきに。そやし、まだ蕩けるには早いで?せやから…」
「うん…」
頷き、体位を変えて、垂れた長い髪を耳に掛けて、いきり立つ愛しい男のモノを口に含み、気持ちの良い場所を探すように舌を使って扱くその姿に、藤次の胸は俄かに高鳴る。
正直、絢音の口淫のテクニックは、経験してきた中では上手いとは感じなかったし、変な話…処女をくれた美知子の方が上手いとさえ思った。
けど、愛しい愛しい、どんな言葉でも足りない愛する女が、自分を求めてくれる。愛してくれる。
その事実が、孤独で乾き切った心を優しく包んでくれて、満たしてくれて、いつしか気持ちは高揚し、興奮して、意識して我慢しないと、出してしまいそうな衝動に駆られてしまう。
そう。
絢音の愛こそ、藤次にとって何よりも強烈な媚薬であり、自らを堕落させる…麻薬。
その度し難い薬の快楽に溺れながら、ベッドサイドの時計の針をチラッと見て、藤次は荒い吐息混じりにため息を吐く。
「(あかん…明日大事な日やのに、今夜も確実に朝までコースや…そやし…)」
クッと、身体を動かして口淫を止めさせると、潤んだ物欲しそうな瞳をした絢音にもう一度キスをして、膣口に自らのモノを充てがう。
「(そやし、幸せやから…えっか…)」
そうして腰を動かして、最愛の彼女の膣内に自身を挿入し、投げ出された小さな手に自分の手を重ねて握りしめ、自分の下で悶える絢音に何度もキスをして、耳元で彼女が求めてやまない口説き文句を囁く。
「好きや…」
溢れんばかりの思いをその3文字に託して、込み上げてくる多幸感に身を任せて、朝日が昇るまで抱きしめて、求めて、精が尽きるまで行為に耽り、疲れ果て眠りに落ちていく絢音の身体を拭いて寝巻きを着せてやると、最後にもう一度キスをして、後ろ髪引かれながらベッドを後にして、シャワーを浴びに脱衣場に向かうと…
「…なんや、えろう幸せそうなツラしとんなぁ〜。『鬼の南部君』?」
鏡に映る満ち足りた顔に、過去の渾名でそう問いかけて、藤次は小さく笑う。
「嗤うなよ?散々浮名流して遊び倒してたお前、今日…結婚するで。」
言って、軽く頬をつねると、鈍い痛みが走り、また笑みが溢れる。
「夢やないんやで。ようやっと…巡り会えたんや。せやから、見守っててや。」
そう過去の自分に告げると、藤次はシャワーを浴びに浴室へと向かった。
誰もいなくなった脱衣場の壁に掛けられた一輪挿しの中の桜の蕾が、春の淡い朝日に照らされ、まるで彼を祝福するかのように、静かに穏やかに、花開いた…
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