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深呼吸をすると流れ込む
鼻先の冷たさ
布団の温もり
階下の足音
「おはよう」と声を掛け合うこと
石油ストーブの匂い
冷えた洋服
台所からコトコト音がして
「顔洗っちゃいな」と声だけで背を押される
手探りで蛇口をひねる
雪よりも痛い水がでて
猫のように手を慣らす
魔法のように目があいて「おはよう」をもう一度
テーブルの上には人数分の湯気
無愛想な父、家族の声、テレビのニュース
赤かった手がじんわり戻ってくる
それぞれの「いってきます」に
母はどんな顔をしていただろう
外は湿ったアスファルトと土と木の匂いだった
朝ごはん、どんな味だったっけ
冬の朝に思い出す
毛布の中で爪先をもぞもぞ動かしながら
息を吸う
私の肺はただ冷たいだけ
完

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