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止まらない涙
「大丈夫?」
彼が心配そうに、歩き遅れた私の元へ戻ってきた。
涙が止まらない私はなんとか頷く。
「ちょっとだけ・・待って・・」
私は何とか涙を止めなければと、必死でハンカチを眼もとに当てる。
「俺が泣かせてるみたいでさぁ。」
「いや、ほんとごめん。でも、仕方ないでしょ。」
私は今年もやってきた花粉を恨みながら、ハードコンタクトの内側に入ったであろう花粉を出すべく、いちどコンタクトを外し、ハンカチの上で、コンタクトに目薬を溢れるほど流して、コンタクトを付け直す。
もういちど、目元をハンカチで抑える。
「あ・・うん。大丈夫。ごめんね。」
今年も日本の風物詩である花粉の時期がやってきたのだった。
【了】
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