5 噂がきみを傷つける

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 絃くんが、難しい顔をして考え込んでいる。  嫌かな、やっぱり。やりすぎなのかな、と思い悩んで声をかけるのをためらっていると、絃くんはゆっくりと顔を上げた。 「……できるかな、俺に」 「……できるよ。絃くんは大丈夫」 「でも、どうやって聞き出せばいいんだろう」 「その作戦を、今から考えよう!」  優しい絃くんのことだから、苦しんだからって相手を苦しめたくない、くらい言うかなと思ったけど、杞憂でよかった。(よくはないのか?)  たくさん話し合って、作戦を立てた帰り道、絃くんはぽつりと言った。 「ほんとうは、俺が苦しんだからってゆりちゃんを苦しめるのは違うかな、って思ったんだけど」 「……」 「絃くんさ~、そんな甘っちょろいこと言ってるの?」 「うん、そう、甘っちょろいんだよ。だって、俺は引越しまでして、それって家族まで巻き込んでて、引越しはお金もかかってるんだから、絶対許せないことなんだよ」  でもそうやって、ご両親のことを考えている絃くんはやっぱり優しいな。  ゆりちゃんさんに自白してもらうには、ゆりちゃんさんと会って話さなくてはいけない。絃くんが、ひとりで。  私や杏里はその場で手伝うことができない。まあ、いたところで何になるんだ、とも思うけど。  少なくとも、絃くんの勇気にはなれるっていう自信はあるんだけど。 「絃くん」 「ん?」 「がんばろうね」 「……ん」  がんばってね、じゃなくて、がんばろうね、って。  だって、私は絃くんとちゃんと、楽しいこともつらいことも分け合いたいよ。楽しいことだけなんて、つまんないよ。    ⁂

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