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本棚に追加 絃くんが、難しい顔をして考え込んでいる。
嫌かな、やっぱり。やりすぎなのかな、と思い悩んで声をかけるのをためらっていると、絃くんはゆっくりと顔を上げた。
「……できるかな、俺に」
「……できるよ。絃くんは大丈夫」
「でも、どうやって聞き出せばいいんだろう」
「その作戦を、今から考えよう!」
優しい絃くんのことだから、苦しんだからって相手を苦しめたくない、くらい言うかなと思ったけど、杞憂でよかった。(よくはないのか?)
たくさん話し合って、作戦を立てた帰り道、絃くんはぽつりと言った。
「ほんとうは、俺が苦しんだからってゆりちゃんを苦しめるのは違うかな、って思ったんだけど」
「……」
「絃くんさ~、そんな甘っちょろいこと言ってるの?」
「うん、そう、甘っちょろいんだよ。だって、俺は引越しまでして、それって家族まで巻き込んでて、引越しはお金もかかってるんだから、絶対許せないことなんだよ」
でもそうやって、ご両親のことを考えている絃くんはやっぱり優しいな。
ゆりちゃんさんに自白してもらうには、ゆりちゃんさんと会って話さなくてはいけない。絃くんが、ひとりで。
私や杏里はその場で手伝うことができない。まあ、いたところで何になるんだ、とも思うけど。
少なくとも、絃くんの勇気にはなれるっていう自信はあるんだけど。
「絃くん」
「ん?」
「がんばろうね」
「……ん」
がんばってね、じゃなくて、がんばろうね、って。
だって、私は絃くんとちゃんと、楽しいこともつらいことも分け合いたいよ。楽しいことだけなんて、つまんないよ。
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