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抱いてはいけないこと
まだ冷たさの残る四月の朝、騒がしい電車の中で人の渦にそっと身を隠すように私はいた。
いろんなところから聞こえてくる同年代のいろんな話に少し嫌気がさして顔を俯かせると、そのまま電車が学校の最寄り駅に到着するのをひたすらじっと待った。
ようやく着いたその駅で、一気に人がホームへと降り立つその渦にこれまたそっと身を隠すように電車から降りた私は、その波に乗ったままいつもの改札を通りいつものように駅を出た。
それから同じ制服を着た人達の渦からここでようやくはみ出るように一人右に進行方向を変えると、そのまま近くにあるスーパーを目指した。
朝七時から開いているというこのスーパーは、大きいからなのか何かと目の行き届いていないところが多く見られる。
ペットボトルの並んでいる棚の列がいつもガタガタだったり、特売の日らしいのに値札が前日のままだったり、入り口は二ヵ所あるのにいつもそのどちらかにカゴが偏っていたり、
それからいたるところに死角があったり。
ちょっとした運試しをするにはちょうどいい店だった。
まだ車もまばらな駐車場を横切って入り口を目指した私は、いつもは素通りするその自動ドアの前で思わず足を止めた。
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