第0章 噂の絶えない家
その家は住宅地から一軒、ほんの少しだけ離れている。
年数は少々経っているが、なんの変哲もない普通の住宅だ。
……ただ。
……ねえ、聞いた?
……聞いた、聞いた。
あの家の話でしょ?
……そうそう。
一家惨殺があった家だって。
……え?
私は一家心中だって聞いたけど。
……そうなの?
どっちにしろ、気味が悪いのには変わりないわ。
……なあ。
あの家って処刑場の跡に建ってるんだろ?
……聞いた、聞いた。
家建てるのに掘ったら、首なしの白骨がごろごろ出てきたらしいな。
……しかも建設業者の人間が何人も怪我したとか。
……俺、このあいだ塾の帰りに横通ったら、庭に人魂浮いてるの見たぞ。
……マジか!?やっぱヤバい家じゃん、あれ。
……聞いた?
このあいだまであそこに住んでた人、おかしくなってご家族が引き取ったって。
……また?
もうこれで何度目?
……女が俺を毎晩殺しに来るとか口走ってたらしいわよ。
……こわっ。
前の人もなんかおかしなこと言い出して、出ていったわよね。
……絶対おかしいって、あの家。
そんな噂の絶えない家に、ある夫婦が……。
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