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***23.5-03-01
「えへへ、じゃあ、一緒に食べましょ!」
カルボナーラを取り皿に分けつつレイチェルは言う。
ふむ。
暖炉に掛けていたヤカンからお湯をティーポットに注いで紅茶を二人分、用意する。
「レイチェルはその椅子に座るといいぞ」
「え? でも1つしかないけど……アッシュはどこに?」
俺はいつもと同じ、ベッドを椅子代わりに腰かけるだけだ。
「うーん……」
何だろう。
何故か難しい顔をしたレイチェルは対面の椅子に座らず、俺の隣にボフッと音をさせて腰を下ろす。
「ほら、こっちの方が……取り分けし易いし……」
そうか?
狭いし、逆にしにくい気もするが。
だが、傍らのレイチェルは何やら有無を言わせぬ覇気を持ってことを進める。
「そうなの! じゃあ、いただきまーす」
押し切られた感はあるが、お腹も空いていたし、サファナおばさんのパスタを頂こうか。
ん?
「はい、あーん……」
「レイチェル、これは一体……?」
差し出されたフォークの先に巻かれたパスタ。
それを自身の口元ではなく、俺の口元に飲み込め、と言わんばかりに差し出される。
いや、別に前みたいに腕を怪我してるわけでもないし、自分で食べれるんだが?
「ほ、ほら……こうやって互いに食べさせっこするのが……その……なんかデートで大事、とか……雑誌で特集してたし……」
そいや、レイチェルはよくその手の雑誌も読んでたな。
カフェ特集やらで俺も同席させられてたが。
まさか、そんなデートの謎お作法なんかも載ってるとは知らなんだ。
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