疑いの目

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ん?昨日の返事? あっ……そうだった。 昨日…… 昨日の光景が脳裏に鮮明に(よみがえ)ってくる。 『リシェル。聞いてほしい。僕は……君が好きだ』 花束を抱え、片膝をついて見上げてきた、あのまっすぐな瞳…… ルヴェルは、私にはもったいない程に素敵な人。 いつの日か、天界を導く天帝という立場になるかもしれない、名門クラウディセル家の長男。 物腰は柔らかく、誰にでも優しく、まさに天使の(かがみ)のような存在。 でも……私の心は、ダリウスのもの。 私は目を伏せて、静かに口を開いた。 「……ごめんなさい。私、その気持ちには応えれない……」 「それって、もしかして……ダリウス・ヴァルシオンと付き合ってるから?」
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