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道端のあちこちで、鳩が豆をつついている。
昨日は節分だったから、鬼は外と、家の外にも豆をまいた家庭がたくさんあったのだろう。
そんな、鳩がたかる家のいくつかは、朝だというのに戸が閉め切られ、家の人の気配をまるで感じない。しかも時折、庭先を出たり入ったりする鳩の足跡が、アスファルトに赤く残ることがある。
どういう伝承で、兄には豆が効くってことになってるんだっけ? 少なくとも俺は、本物の鬼が現れたら、豆をぶつけた程度じゃ追い払えないだろうと思うんだ。
そういう、『俺みたいな考え方をする人が想像する鬼』は、きっと豆では撃退できない。
もしそれが現れたとしたら、どんなに豆をぶつけたところで…。
ああ、そこの家にもこっちの家にも、豆を狙う鳩がいる。
豆を食べるのはいいけれど、そこにうっかりしみ込んだ血の味は覚えないでくれよな。
鳩と豆…完
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