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♪~♪~♪~
やっかましい着信音に
藤村依織(ふじむら いおり)は目を覚ました。
「なんだよ……ちくしょー……俺を寝かせろや」
携帯を手に取り、ディスプレイ確認。
着信
黒川 裟柄
「……マジすか」
嫌な予感しかしねー。
……いや、ごめん嘘。
ちょっと嬉しい。
てか期待。
まさかまさか………?
俺はすぐさま通話ボタンを押した。
「…もしもし」
一言そォいうと
聞こえてきたのは
裟柄の甲高い声。
「ちょっと聞いて依織ーーーーーーーっ!あたしねぇ~~~……わーかーれーたぁぁぁぁ!」
「は?椎名と?何で?」
そう口にはしたものの、
ぶっちゃけどーでもよかった。
あぁ、待ち焦がれてた。
やっと別れた。
俺は心の中で
カナーリ、叫んだ。
「よっしゃあぁあぁ」みたいな。(笑)
「なんか、裏切られた………前から仲良いなって思ってたけど、まさか本当に………っ理亜とデキてると思わなかったぁあぁあ!」
泣いてるんだか、キレてるんだか分からないよ裟柄…。
てゆか…
蓮見理亜(はすみ りあ)さん。
アナタ何しちゃったの。
そらダメでしょや。
裟柄と椎名遥(しいな はるか)を別れさせたことは嬉しいんだけどさ?
(ぁ。俺サイテー)
裟柄泣かせちゃダメだよ~。
(矛盾しまくりよ俺)
「もぉイヤダ~!どぉしてあたしいつもこんななの!ムカつく!死ぬあたし!」
ポカーンと色々なことを頭で巡らせていた俺。
裟柄の「死ぬ」発言で我に返った。
「ちょ、ちょ、裟柄ちゃん!兄ちゃんスグ学校行くから!大人しくしてなさい!今ドコ?」
急いでベットから飛び上がり、クローゼットからワイシャツとネクタイとズボンを取り出す。
「……っ屋上…!暑いからアイス買ってきて。ケチってガリ○リ君買ってくんなよ……っグス」
その命令がなけりゃあ素直にカワイイのに………。
「了解。日射病なるなよ?10分で行くカラ」
「うん……」
俺は適当に髪整えて
シャツとズボンを身に纏い、
ネクタイして
鞄持って
家から飛び出した。
外に出たらクソ暑かった。
遠くで蝉が鳴いてた。
7月の、出来事。
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