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本棚に追加俺が輝の兄という事実は、一瞬でクラス全体に広まった。殆どの生徒が好奇を滲ませた目で俺をジロジロ見てくる。そういった視線にはもうすっかり慣れているから、謎に離れない輝をくっ付けたまま自分の席に向かった。名簿順でちょうど分断された輝は最前席の筈なんだけどな。
そしたら何故かさっき自己紹介し合った2人も着いてきた。
美形だと思われるこの2人と話してもいいのだろうかと悩んだけど、輝は何も言わないからとりあえず良しとしよう。
「養子ってんなら当たり前だけど全然雰囲気ちげーのな。兄の方は弟と違ってぶりっ子してねぇし」
「ぶりっ子って何かな。僕は素で可愛いんだよ」
綺麗な笑顔ですごい事を言う。そんな輝の言葉を綺麗にスルーして荒井くんは俺を振り返る。
「苗字だと被ってめんどいし、紡って名前で呼んでい?」
「いいよ。...えーと、2人は...」
「オレの方も好きに呼べよ」
「俺も何でもいいぜ、よろしくなー紡」
2人にそう気さくに笑いかけられて、思わず顔が綻ぶ。美形至上主義とか言うのもあってまともに友達が出来るか不安だったのだ。嬉しさのあまり差し出された手を飛び付かん勢いで握った俺に荒井は軽く目を見開き、ピッと俺を指差す。
「素で可愛いってのはこーいう自然体のを言うんだよ。手本になるオニイチャンが出来て良かったな」
「へぇ?荒井会長はノンケだと思ってたんだけど、ムギにモーションかけるんだ...まさかついにそっちの気に目覚めたの?」
「気色悪りぃなバリバリノンケだわ。つかもう会長じゃねーですよ、真城元書記~」
会長?と首を傾げると、風峰が説明してくれた。なんと荒井は去年中等部で生徒会長を勤めていたらしい。輝も確か書記をやっていたと言っていたし、言わば元同僚なのか。
「で、ノンケで病気レベルの目立ちたがり屋な元会長さんは高等部でも会長やるつもりなのかな?」
「当然、その為に庶務入り断ったんだし。オレ以上に会長に相応しい奴なんていねぇだろ?」
そう自慢げに鼻で笑う荒井元会長さん。なまじ顔が良いだけにサマになるのが少し釈然としなかった。
「じゃあ抱かれたいランキング1位目指さないとだね、頑張れ。まあ何をどう頑張るかは知らないけど」
「うぇ、その選出方法やっぱマジなの?キッツイわ~」
「でもお前、女の扱い究極的に下手だし男とのが意外と上手くいったりしてなー」
小気味良さそうにカラカラと笑う風峰の言葉に、輝がニヤニヤと乗っかった。
「去年の学園クリスマス会で『俺の分まで盛り上がれよ』なんてカッコつけてクラス全員分の参加費肩代わりしてまで彼女とのデート優先したと思えば、部屋に彼女へのプレゼント忘れるわその日の夜に紅葉痕作って帰って来るわ...惨め過ぎて大爆笑だったよ」
「つか、プレゼントの謝罪どころか言い訳もせず開き直っての『俺と過ごせる時間以上に何求めんだよ』はよくビンタで済んだよな。俺なら足出てる」
「おいそれ一部のヤツしか知らないガチの裏話じゃねーか!新学期早々面目潰すんじゃねーよ!」
どうやらクラスのほぼ全員が俺達の話に耳を傾けていたらしく、教室内でドッと笑いが起こる。
俺もつられて笑うと忌々しげに睨まれた。何で俺だけ。
でも、思いの外クラスの雰囲気は良さそうだ。現に今、美形3人と話していても俺を睨んで来る生徒はほんの少ししかいない。
輝が何も言ってこないのもクラス内なら問題無いと踏んだのかもしれない。ただ、荒井が元生徒会長だと言う情報をしれっと出して来たのは軽い忠告なんだろうな。本当に抜け目の無い奴だ。
「新学期から推しカプ眼福過ぎ...亮様×颯太様こそ1Sの至高」
「はぁ?颯太様×亮様に決まってんじゃんナメてんの?」
「いや、荒井+風峰×輝の天使様サンドしか勝たんよ」
「馬っ鹿ヤロウ輝様は鬼畜ドS攻めだよ。絶対天使の皮被った悪魔だってあの人は」
「妄想乙。輝ちゃまは純白の天使だっつの。だって苗字真城だぞ。そりゃもう心の隅々まで真っ白しろに決まってる」
「まさかSクラスで平凡受けの供給ラインが出来るなんて...もしや今年は平凡受け界隈にも人権が...おぉ、神よ...」
あと、何やら興奮気味にボソボソ喋ってる人が数名見受けられたけど、西宮先輩に通ずるものを感じたのでスルーする事にした。

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