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夕方の路地を、1人の少女が酷い仏頂面で歩いている。
彼女の名前は間宮きさら。
超お嬢様学校に通う、高校三年生だ。
(退屈、だな。)
親の敷いた決められたレールを歩くだけ。
毎日毎日、同じ風景ばかり見て。
そしてまた、1日が過ぎていく。
これを退屈と呼ばずに、何と呼べと言うのか。
(何か面白いことないかな…)
そう思うのも仕方がないことだ。
―…今日もまた、いつもの曲がり角。
それを曲がれば、これまたいつもの自分の家が見えてくる。
…はずだった。
(あ、れ…。)
玄関前に人が倒れている。
不思議に思ったきさらは、その不審人物に近付いてみた。
(…息は、してる。)
このクソ暑い中、長袖のYシャツに黒の長ズボンを履いて、人の家の玄関前で気絶している人物。
(…みつけた。
面白い、こと。)
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