吸血鬼

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とりあえず、顔を叩いてみた。 ぺちぺち 「おーぃ、おきて~。」 しーん… ベシベシ 「おきてってば~。」 しーん… バシッ、バシッ!! 「起きろっつってんだろぉがぁゴルァ!!!!」 ピクッ 「いッッ…てぇ…」 「あ、起きた。」 ……………。 「…誰だお前。」 「や、それは激しくこっちのセリフですが。」 倒れていた人物は、十代後半から二十代前半くらいの、超絶美形男だった。 だが、きさらにとっては、美形だろうがなんだろうがどうでもよかった。(爆) 「…で、あんたは何者なわけ? このクソ暑いなか、長袖長ズボンで人様の家の前に堂々と寝そべって。」 実際は寝ていたのではなく、気絶していたのだが。 「あ~、オレ吸血鬼なんだけどよ、ちょっと血が足りなくなっちまって(笑)」 あはは、と笑いながら事も無げに話す自称吸血鬼。 「…………は、」 (なに言ってんだコイツ。 吸血鬼、そんなの居るわけないじゃない。) 「と言うわけでさ、」 「な、に…」 「ちょっと血ぃ、分けてくんね?」 ニカッと歯を見せて笑う目の前の男。 その犬歯は、確かに鋭く、普通の人間よりいくらか長くて。 他の歯も、心なしか尖っている。 他のところもよくよく見てみれば…紅い瞳、 銀色の髪。どちらも人間では世界中探しても、染めたりカラコンを付けていなければあり得ない色だ。 肌は生気を感じさせないほど白く、不気味。 「ねぇ、カラコンつけてる?」 「からこん?なんだそれ。」 「…じっじゃあ、髪染めてる?」 「?、髪なんか何でどうやって染めんだよ。」 「……………ι」 「てか、早く血ぃちょーだい。」 「…血、吸われるのって痛い?」 「今まで血ぃもらった女は、最初にチクってするだけで、あとは気持ちいいってみんな言ってた。」 「血、吸われたら私も吸血鬼になるの?」 「なんねーよ、オレ、吸血鬼っつっても半分人間の血流れてるから。」 「…じゃあ、いいよ。 血、あげても。」
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