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「マジで?やった!!
じゃ、早速頂きま~ッす。」
きさらの首筋には、鋭い牙。
ゆっくりと食い込み…
ざ く っ 。
思いっきり刺さった。
「いぃだだだ痛ァアアァっ!!!!(泣)」
じゅるるるる
「…ぷはっ、ごちそーさん♪」
………………。
「…ちょ~っとこっちおいで?」
「なんだ?」
「てんめぇ…死ぬほど痛ぇじゃねぇかァアア!!!!」
ド ゴッ
きさらの拳が聖夜の白い頬にめり込む。
ミシミシと骨の軋む音を立て、変形した。
「あべしっ!!!」
聖夜は塀に叩きつけられた。
********
数十分後。
ひとしきり聖夜を殴り終えて、きさらの怒りはやっと収まった。
殴られた聖夜は、さしずめボロ雑巾のよう。
「そういやさ、お前名前は?」
「きさら、間宮きさら」
「フーン、オレは聖夜…聖なる夜ってかいてのえるって読むんだ。カッコいいだろ?」
「…日本人みたいな名前ね」
「あー、さっき言った通りオレは吸血鬼と人間の血が半々にながれてんの。
要するにハーフね。
で、その人間が日本人なんだ。
オレは人間の方の親に名前つけてもらったってわけ。」
「へぇ…」
未だにきさらは目の前の青年が吸血鬼だと信じがたかったが、くん、と聖夜はきさらの首筋に顔をうずめ、匂いをかいだ。
「なっ、なななに…「まっ、これからよろしくなっ☆」…は?」
ぱっ、と首筋から顔を上げた聖夜の口から出た言葉に、きさらは固まった。
「どういう意味…?」
「だから、これから世話になるからよろしくなって…「そうじゃなくて!」
「血をあげたら帰るんじゃないの!??」
「…あれ、言ってなかったっけ?
一回血をもらうと、くれた奴が死ぬまで、そいつの血しか飲めねーんだ。
っていう吸血鬼の契約の話…って言ってなかったかι」
聖夜はてへっ、という感じで頭をかいた。
「うそぉぉおお!!!??」
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