Postmortem rigidity  

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Postmortem rigidity  

遺体警護人とは、文字通り遺体を警護する仕事である。 第一に犯罪者や医者が盗みに来るのを阻止する事。 第二に、死体に取り憑こうとする悪霊から守る事。  まぁ、基本的には何も起こらない。 起こらないし、こういう仕事は金回りが良い。  中には死体と一発しけ込もうとする性的倒錯者がいるわけだが、俺はそんなんじゃない。 「プロード・ヘイモン様ですね」  古風で大きな屋敷に着くと、如何にもな老紳士の執事が門の前に立っていて、シワのある目尻は赤く腫れていた。  俺は車から降り、老執事に屋敷の中へ案内される。 屋敷自体はかなり年季を感じるが、手入れは行き届いている。  とても静かだ。他には誰も居ないような静けさだった。 当然だろう 一人娘が死んだのだから。 「主人は2日前から寝込まれております。状況が状況ですので、どうかご容赦ください」 「あぁ、分かってるさ」  今日の仕事も何も起こらなければいいんだが。

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