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本棚に追加太陽
初日の出の写真が撮りたい。
リビングでカメラをいじっていると、これから小学生になる息子に言われた。もうすぐ元旦だからだろうか。
「突然、どうした?」
尋ねると、どうやら息子は俺のカメラ好きの影響を受けてしまっていたようだ。俺のことを説得しようとあれこれ理屈をつけて、大晦日の夜に外出したいとせがむ。その姿に熱意が感じられた。やはりなんだかんだ言っても、好きという感情は強い。
「わかった。じゃあ、二人でママに相談しよう」
正直、だるい。が、息子の気持ちをないがしろにはしたくなかった。夕食中にママに話すと、ママは「今回だけね」と渋々、承諾した。意外だった。てっきりノーを突きつけると思っていた。
食後。食器を洗うママにそのことを伝えると、ママは笑いながら話す。
「だって、あの子ったらずっとパパの真似をしたがるから。スマホで写真を撮らせて、って何度もねだるし」
「そうだったのか」
知らなかった。なんだか、やる気が出てきた。
大晦日の夜。俺たち二人は車で湖に向かった。それなりに近いし、なによりここからの景色はとても良い。感動する。以前、来たことはあるがそのことは息子に内緒にして、二人でネットを使用して、改めて情報収集してから湖に訪れた。何事も経験だ。息子にカメラの使い方を簡単に教える。忘れていても当日は俺がまた教えるし、なんなら代わりに撮影すると付け加えたが、息子は集中して話を聞く。熱量が冷めることはない。飽きるかと思っていた分、嬉しくなってくる。
俺は親バカの素質があるのかもしれない。
車内にて初日の出まで過ごす。指先が冷える。息子がカイロを渡した。ママかららしい。気が利くお嫁さんだ。
深夜になっても、息子は起きていた。すごいな、と褒めてみると、仮眠を取ったから平気だと自慢げに話す。とはいえ、まだ幼い子ども。数時間後にはうつらうつらとし始める。
「しりとりでもするか」
「りんご」
即答ですらない。もう始めやがった。まあ、いいか。俺たちはしりとりをして眠気をごまかす。しりとりなんていつぶりだろう。
更に時間が経過した。返事が来るまで間隔が空いてきた。眠いのだろう。俺はあえてしりとりのペースを落とした。息子の寝息が聞こえる。
空が明るくなり始める。朝焼けだ。もうすぐ日の出の時間だ。ネットでは、日の出の三十分くらい前から朝焼けだと書いてあった。となると、三十分後に念願の初日の出だ。
「そろそろ起こしておくか」
振り返り、後部座席で眠る息子に声をかけようとした。が、すやすや眠る息子を見て、俺は思わずカメラを手に取った。
シャッター音が鳴る。こういうのも悪くないな。寒いのは勘弁だが。
完

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