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「うみー!きらきら!」
「そうだね、うみきらきらだね」
海沿いに作られた県道の下には瓦屋根の家々が立ち並ぶ。反対側には山沿いに作られた線路があり、電車が通ると息子は先程まで「でんしゃ!」「かんかんかん!」とはしゃいでいた。
この道を通るのは10年ぶりだった。
私の息子は病気のせいで、脳の発達が他の子より大きく遅れている。
妊娠している時は気づかなかったのだが、生まれて直ぐに泣いてばかりの息子に違和感を感じ、息子が一歳半の時にやっと病気と障害が一緒に判明した。
息子の病気と障害おかげでなかなか遠出が難しく、私は息子が生まれてからの7年間、この道を通って自分の実家に帰ることが出来ていなかった。
「ありがとね。運転してくれて」
「なんもだよー。
たまちゃんこの道から見る景色好きって言ってたから」
「なんもだよー」の言葉は、私の方言が夫にうつってしまった故の「なんにもだよ」という意味の夫の口癖だ。
夫はハンドルを握ったまま答え、自分もチラリと海の方に視線をやった。
「うみ!ざぶーん!」
「うみざぶーんだね。入りたいね」

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