ベスト•ドロップ

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ベスト•ドロップ

「なあ薫〜、今日ひましてない?」 「今から軽く残業してから帰ろうかな〜って思ってたけど。どーした?なんかあった?」 金曜日の定時すぎ。周りは「飲みに行こう」やら「デートだ」やらとザワザワとしていて盛り上がっていて騒がしい。さすが、華金。 おれは特に予定もないので、もう少しだけ仕事を片付けてから帰ろうとパソコンにかじりついていれば、帰宅準備を終えてバッグを手に持っている同期の山下に声をかけられた。 「それって急ぎのやつ…なのか?」 「…別に今日しなくても大丈夫だけど…なに?」 パソコンの画面をグイッと覗き込み、恐る恐る困り顔で聞いてくる山下に怪訝な顔を向けてしまった。男の困り顔なんてみたくないぞ、こっちは。 「たのむ!着いてきて欲しいお店があるんだよ!」 「…いやだ、なんか変なところな気がする」 「いやいや!まじで変なところとかじゃねーの!紅茶のお店!紅茶の専門店!あ〜ちゃんともう少しで記念日だからさ!あ〜ちゃんの大好きな紅茶プレゼントしてえんだよ!だけど、そんなおしゃんなお店おれひとりで入れなくて!!なああ!頼むよ〜!」 「紅茶…」 おれ、紅茶得意じゃないんだよなあ。 甘いのそんなに得意じゃないから、紅茶より珈琲派なんだよな。

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