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本棚に追加光の終着点
七百七十七回目の夏。その終わりがやってきた。
いいや違う。ここは終わりも、そして始まりもない世界。それがこの、合わせ鏡の世界。
私はこの世界を見守ってきた。鏡に反射する光が、どこまでも続くように。魔女として。人として。あの娘の友として。
現実と瓜二つのこの世界。しかし決定的に違うことがある。それは夏の終わりにループすることで肉体がリセットされるということ。
私は病弱なあの娘がずっと生きながらえることを望んでいた。あの娘も永遠の楽園を望んでいる。そう信じていた。
それなのに。
青々とした大空の下、人のいないスクランブル交差点の真ん中で、私は魔女の力を宿した友の姿を見据える。凜としていた。以前では考えられないくらいに。
「どうして、この世界を壊すことを決めたの?」
世界のコアを横目に、私は友に尋ねる。宝石のような輝きを放つコアは宙を浮いている。サイズ感からしても心臓そのものだ。友はどこからともなく剣を生み出した。氷のような剣だった。友は語る。これまでの日々を。合わせ鏡の世界で数少ない仲間たちと過ごした思い出を。最後に、友は話す。
「あなたが……友達が苦しそうだから」
ふざけるなと思った。私はあなたのためにこの世界を作った。あなたのためなら、どんな苦痛も受け入れる。例えそれが記憶の引き継ぎでも。永遠の孤独でも。私はそれでも構わなかった。
それなのに、あなたがこの世界を否定するの?
「もういいんだよ」
友は微笑むと、私の元まで駆け出した。私を殺し、コアを破壊するつもりか。何百回とループする、この合わせ鏡の世界を終わらせるために。そうはさせない。煮えたぎる怒りを抑え込み、私は大鎌を具現化させ、迎え撃つ。
「はああああっ!」
互いに刃を振るった。そう思った。だが、友は剣を捨てていた。何を。動揺しているうちに友はわたしが手に持つ大鎌を掴み、自身に突き立てた。
「あなたに永劫の苦痛を与えてまで生きながらえたいとは思わない」
「まさか、そんな」
何故、気づかなかった。これまでの日々を共に過ごしたという仲間がそばにいないことに。そうか。仲間に自死を止められると思った友は、単独で私に会いに来たのだ。
「どうして、そこまで……?」
「あなたに、皆に、明日を生きてほしいから」
私の胸の中で友が息絶える。昔からそういう娘だった。自己犠牲の塊のような人で、だからこそ私はあなたに幸せを与えたかった。
「ひかり……」
私は友の名を呼んだ。もう、この世界を維持する理由がない。私は大鎌を投げてコアを破壊する。合わせ鏡の世界は終わりを告げた。
完

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