嵐のようだったおじいちゃんの来訪の後、呆然とする私に「色々案内してあげたら?」とお母さんが提案してくれて、大地くんと二人散歩に出ることにした。
「まだこの時間は暑いね」
「そうだな。でも、都会に比べるとやっぱり少しマシな気がする」
自分が通っていた学校や、近所のお店なんかを見て回りながら、私の頭の中はさっきのおじいちゃんとの会話でいっぱいだった。
(さっきのあれって、やっぱりそういうことなのかな……それとも、おじいちゃんの勢いに押されて……? 気になる……!)
「……そうだ! ねえ、大地くん。中学校の裏に、ひまわりが綺麗に咲く原っぱがあるんだけど、そこ行ってみない?」
頷いてくれた大地くんと、来た道を戻って中学校の裏手に回ると、田舎特有の細い道をしばらく進んだ先に、綺麗に咲き誇るひまわり達が見えた。
「すごい数だな……」
「昔聞いた話だと、100本以上あるらしいよ」
二人並んでひまわりを見ながら、大地くんをチラッと見上げる。さっきのことを聞こうかどうしようかと迷っていると、不意に大地くんがこちらを向いて目が合ってしまった。
「――さっきのこと、詩織の気持ちも聞いてないのに、勝手に返事して悪かった」
「あの、大地くんは……その、本気で……?」
「もちろん。でも、気が早いのは分かってるから、詩織にはまだ言うつもりなかった」
そこで一度目を逸らした大地くんは、大きく深呼吸をすると、今度は正面から目を合わせてくる。そのあまりに真剣な表情に、呼吸すら忘れて大地くんを見つめる。
「あんな成り行きで詩織に伝わってしまったけど……俺は将来、詩織と家族になりたいと思ってる。詩織は、この町に動物病院を作るのが夢なんだよな?」
「……うん」
「その未来に、俺の居場所を作ってくれないか。この町で、駐在として詩織や他のみんなの安全を守る仕事をしたい。返事は急がないから、ゆっくり考えてくれ……っ」
大地くんが言い終わる前に、気持ちのままに抱きついてしまった。だって、嬉しかったから。
「返事なんて決まってる……! だって、大地くんとずっと一緒にいたいから……大地くんの、お嫁さんにしてください」
「詩織……そんな大事なこと、今決めていいのか? 心変わりしても、絶対離してやれないぞ」
「心変わりなんてしないよ。大地くんこそ、後悔しても知らないよ? 絶対大地くんと家族になってここに戻ってくるって、もう決めちゃったんだから」
「それこそ、後悔なんてしない。詩織のこと、愛してるから――」
ゆっくり近付いてくる大地くんの熱を唇で受け止めて、ひまわりに見守られながら、徐々に深まる口付けでお互いの気持ちを伝え合う。
数年後、私達が辿り着くであろう幸せな未来を思い浮かべながら、しばらくの間、ひまわりを見つめて寄り添っていた。
ーーーENDーーー
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