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第一章 ~不死なる弓との戦い~
当てもなく歩き回るのもどうかと思ったが、ただ待つよりは良いかと思い散策する事にする。
それにしても喉が渇く…。どれだけ水を飲んでも満たされ無い。何故だろう
ダッテ私ガ求メテイルノハソンナモノデハ…
うるさい。余計な事を考えるなっ!
「おや、こんな時間に教会へどんな用ですか?」
声にハッと我に帰る。この声は
「…代行者」
今夜会いたくない人物は何人か居るが、よりにもよって埋葬機関とは…自分の不運を嘆きたくなる。
「懺悔でもするつもりですか?シオン・エルトナム・アトラシア」
代行者のデータがあまり無い。それに身体能力の差がありすぎる。出来れば戦いたくない相手だ。
「今更悔い改めるような事はありません。あるとすればあなたと出会ってしまった事ぐらいです」
だが今は余裕はない。逃がしてもらえるとも思えない。
ダッタラヤルコトハヒトツジャナイカ?
「言ってくれますね…。少し予定外ですがあなたの罪、ここで洗い流してあげましょう」
「確実に勝てる要素がないのに挑むなんて錬金術師にあるまじき行為ですが、仕方ありません」
…高速思考展開。
目の前の標的(代行者)に勝利する事を第一目標とする。勝利条件は標的をしばらく行動不能にするか逃亡する事。標的は高い身体能力と異常に死にずらい事が特徴。主武装は黒鍵と呼ばれる対吸血鬼用の投剣や第七聖典を含めた多数の概念武装。極度のカレー好きである。これを戦闘に活用出来ないだろうか?…出来るはずがない。戦闘に必要な情報はこれ以上解らない。あとは戦いながら癖を見抜くしかない。攻撃させずに倒せれば理想的だが、そう簡単にはいかないだろう。
連続戦闘を考え極力武器や体力を温存したい。やはり現実的な方法としてエーテライトによる捕縛がいいだろう。あれならば例え倒しきれなくとも自由を奪う事ぐらいは出来る。
「行きますよっ」
? 代行者の動きに違和感がある。
黒鍵を懐から取り出す。その数三本。私に狙いを定め構える。一つは私に当たるように、残り二つは私の逃げると思われる位置に、それぞれ投擲しつつ接近する。
それら、一つ一つの動作が緩慢に見える。飛んで来る黒鍵さえもほとんど止まって見える。
亀デスカ?アナタハ
「えっ!?」
代行者の動きが止まる。もっとも、元から止まっていたようなものだが。
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