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後ろから肘打ちを仕掛けようと、接近していた代行者に飛んで来た黒鍵を掴み、突き刺したからだ。それが刺さっている場所は心臓。普通なら即死のはずだが、流石にこの程度で死んでくれる相手ではない。
追撃を回避しようと反射的にバックステップをとる。だがその程度の動き、予測済みだ。まだ地面に足が着かず無防備なところにエーテライトを当てる。
「きゃぁっ」
力加減を間違ったようだ。捕獲するつもりが左足を切断してしまった。
目障リダ私ノ前カラ消エロ、ニンゲン…!切断面からは大量の血が滝のように流れている。
…憎イ
死にずらいと言っても痛覚はあるらしい。
喉ガ焼ケルヨウ二アツイ
苦痛に顔を歪ませながらこちらを睨みつけている。
何カ飲ミ物ヲ…
片足を切断されたのだからそう簡単に追い掛けてこれないだろう。
ナンダ、スグソコニアルジャナイカ
このまま逃げた方がいい。何度も言うようだが、私には時間が無い。
紅イ紅イ液体
流れていた血はいつしか血溜まりを作っていた。血が…血が…
ソウ私ガ求メテイタノハ
違うっ!私はそんな事望んでいない。
本当ニ?
私は人間だ。吸血鬼に堕ちるつもりはない。それに吸血鬼を人間に戻す研究をしている者として病に屈する訳にはいかない!
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