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第二章 ~親友との…~
……………
私は今まで何をしていたのだろう?記憶に欠落がある。それに何故、路地裏に…
「あっ、気が付いた」
頭がボーとする。寝起きと言うより貧血でも起こしたような感覚だ。
「心配したんだよ~」
私の傍らに座っていた人影が微笑みながら紙皿を渡してきた。
「…さつき、私は何をしていたのですか?」
あまり働かない頭とは対照的に腕は勝手に動きそれを受け取った。中身は空だ。というより未使用の方が適切か。
「知らないよ。道端で倒れてたからお腹でも減ったのかと思って」
そしてここまで運んで来たというわけか。普通、人が倒れていても無視すると思うのだが。それより、私が倒れていた?倒れるまで疲労していた記憶はないが…
そこまで考えて、自分が高揚している事に気が付いた。そうだ、私は戦闘していたはずだ。相手は確か…代行者だったと思う。あと少しのところまで追い込み逃亡しようと考えて、それから…それからどうしたのだろう?
アレホドノ事ヲ忘レタト言ウツモリカ?
…朱に染まる視界。響き渡る悲鳴。
飛ビ散ル鮮血。
私の瞳から溢れるのは悲しみの涙か
狂気ノ血カ。
――思考が複数あると言うのも滑稽なものね
もう全てが
ドウデモイイ。
タタリを継つぐのはズェピア、あなたではない。タタリの二つ名は…
ワタシニコソ相応シイ
「シオン顔色悪いけど大丈夫?」
高速思考ナド不要ダ。戦イニ必要ナモノハチカラトスピードダ。圧倒的ナ暴力ハ戦略ニ勝ル。
黙れ、お前には関係ない。この周辺の悪性情報を具現化する。
「…眠い。まったく、死人をおいそれと起こすなよ」
「なんで遠野君が!?」
『殺人貴』と言うからどんな人物かと思えば…志貴だったか。
本来『殺人鬼』と言うところをあえてそう呼ぶとは面白い。
「遠野?あぁ、志貴の事か。」
―――なんだ、もうタタリにのまれたの?まぁ、これはこれで見物かしら。
「遠野君じゃ、ない…?」
この志貴はどの程度の戦力になるのか不確定だ。具現化は出来たが、扱い方がまだ解っていない。
「それより弓塚。頼みがあるんだ」
「な、なに?」
さて、接近戦は彼に任せて私は後方支援に回ろう。
そういえばこの志貴は眼鏡をかけていないようだ。眼鏡が有るか無いかだけでかなり印象が違う。やはり外した方が格好はつくと思う。
「死んでくれ」
個人的には見慣れている分、眼鏡があった方がいいが。
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