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穴の先に広がるのは、真っ暗な闇。音の一切を飲み込んでしまう漆黒。
私はふぅと息を吐くと、肘で額の汗を拭った。真っ黒な土が服に付く。
「ははっ、汚い 」
笑う私の頬を幾筋もの涙が伝っていく。振り向くと心配そうな表情をして、カリナが私を見ていた。
綺麗な、綺麗なカリナ。もう、私にはあなたは必要ない。
穴の縁に立っていたカリナの肩を、躊躇なく私はトンと押した。
「え……? 」
ぐらりと揺らいで、カリナが穴の方へ倒れていく。私を掴もうとした手が空を切った。
「さよなら、カリナ 」
「いやっ、駄目よ。カリナッ! 」
信じられないものを見る様に私を見つめたまま、カリナが穴に落ちていく。私が掘った深い穴。底は見えない。
私を呼ぶ叫び声が段々小さくなっていき、そのうち全く聞こえなくなった。
お別れよ、私の良心。
静寂が消えて、心が現実に戻ってくる。
私は足元に落ちている『高畑 華梨奈 』と名前が書いてあるスクールバッグを拾った。そして、上部のファスナーを開き、何本も持ってきた包丁のうちの一本を取り出す。
鈍色の刃物の、美しく研がれた銀色に光る刃先が魅惑的に輝いていた。
口元に笑みが浮かぶ。もう何も、私を止めるものはない。
《ヲワリ》
2025.3.30 公開
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