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その様子を見つめながら、自分の無神経な言葉が彼女を苦しめたのだということに、千夏は気付く。
だが、それこそ今さら、気付いたところで発した言葉が戻るわけでもなかった。
「ごめんなさい…私」
涙で震える声で謝られ、千夏は、彼女からそっと視線を反らした。
それがまた彼女を傷つけるのだと知りながら、そうしてしまう。
そう。悪いのは、彼女ではないのだ。と言うより、悪いのは、確実に言い過ぎた自分である。
けれど、どう謝れば良いかも分からない。
分からなくて、そのことに居たたまれなくて、だから彼女の視線から逃げたのだ。
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