第八章 扉の鍵

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 自分は弱い。と千夏は思った。 弱くて、そしてズルい―― (私はやっぱり弱いわよ…姉さん)  延々と悲しみを抱く彼女を盗み見しながら、千夏はただそう思った。  今年で26を向かえる彼女の名は、二条水城。 あの二条神楽の義姉であり、二条家の次期当主にあたる者だ。つまりは、二条神楽が兄、二条静の嫁になる。 それでいて、何故、嫁で女である彼女が次期当主の座につくのか。  千夏も気になって、一度、彼女に聞いたことがある。 その時の彼女曰く、こうだ。
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