第八章 扉の鍵

11/30
前へ
/443ページ
次へ
 ならば、婿に継がせればいいではないか。と他人は言うが、もともと、種馬的存在としか考えていない婿に家を継がせる等、二条家ではもってのほか。  結局、そんなことを長年繰り返して、いつの間にか“産まれた子が家を継ぐ”のが“女が家を継ぐ”に変わったのだという。  そして、その輪廻が崩れたのが、前当主、二条楓からだった。  当時、18だった楓は婿を取り、男児を宿した。 今までどおりと考えるならば、そのままいけば、子は死産か流産。産まれることはまず無いとされ、誰もが2人目が産まれるのを期待した。  だが、子は予想に反し、すこぶる順調に育ち、元気に産まれることとなる。
/443ページ

最初のコメントを投稿しよう!

321人が本棚に入れています
本棚に追加