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だが、本当に驚いたのは自分達、家族である。
仕事の都合で地方に転勤になっていたところ、いきなり会社を止めて帰って来たかと思えば、二言目には「私、結婚したの」だ。
それも、あの大財閥の二条の息子が相手だなんて、あり得ないどころではない。あの時ばかりは、何の冗談だ。と千夏は疑ったものだった。
けれど、結婚は確かな真実であり、姉、香山水城は二条水城に変わっていた。
それからか。
千夏には、彼女がどこか恐ろしく感じることがあった。
昔から穏和な姉の何処が怖いのか。自分でも不思議で堪らないのだが、事実、今だって怖い。
威圧感、というのか。何なのか。二条水城となった彼女は、どこか昔の彼女とは違って見えるのだ。
そしてそれが、二条家の一員である証の気がして、どうしようもないのだ。
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