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「そんなことあるのよ」
発した言葉は悲鳴のようだった。それをまた、はっきりとした口調で否定される。
違う。と首を振った。何度も、何度も、振りながら、自分はおかしくなってる訳じゃないと姉に告げる。
けれど、姉の言葉は無情にもそれを切り捨てた。
「貴方が自分をどう認識しようと、おかしくなってるのは確かよ、千夏。 私には分かる。 ううん、私じゃなくても分かる! 貴方はただ足掻いてるだけ……あのこがいない悲しさを埋めようと、必死になってるだけ。 でも、それじゃ犯人を見つけるどころか、何も解決なんてしないわ」
「違う。 解決、するの……」
解決しなきゃいけないんだ。と呟く。そのために自分はこうして動いているのだと。
けれど、そう告げる言葉は弱々しく、最早、力など感じられない。
「解決などしない」と言いきった姉の自信満々の態度に対し、千夏の心は大きく揺らいでしまっていた。
そこにまた揺さぶりをかけるように、彼女は言葉をまくし立てる。
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