国外追放なんて怖くない
「アンジェリカ・コートレット。王妃候補の身でありながら蛮族と姦通した罪により、貴様を国外追放処分にする」
ファナリース聖王国の聖王宮。
等間隔に大理石の柱が立ち並ぶ謁見の間。
吹き抜けになった天井にはセレイエ教会が崇める女神セレイエの姿が格調高く描かれている。
四大精霊や多種多様な精霊たちの中心で、女神は慈愛に満ちた微笑みを浮かべていた。
天井を彩る美しい宗教画とは対照的に、玉座に座る金髪碧眼の国王ジルベルトの表情の、なんと冷たいことか。
ジルベルト様だけではない。
それぞれに精霊を連れた四人の聖女――私と同じ王妃候補たちも、大臣たちも、ケノック大司教も無言で私を見ている。
人々からの視線が矢のように突き刺さり、私は堪らず悲鳴を上げた。
「お待ちください!! ケノック大司教様に続いて国王陛下まで私が罪人だと仰るのですか!? 一体何のことですか、身に覚えがありません!!」
私は昨夜、三か月にも及ぶ『巡礼の旅』を終えた。
『巡礼の旅』とは聖女がレノリア大陸にある四つの神殿を巡り、祈りを捧げる旅。
各神殿には各属性──火・風・水・土の力を持った精霊たちがいる。
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