勇者LEVEL3

5/5
前へ
/52ページ
次へ
実は昨日のMステで、サキは今までにない衝撃を受けていた。 今まで感じていた違和感がなぜか少し解消されるような、なんだか胸がドキドキするかんじだ。 山田から逃げさり、モヤモヤした気持ちで何となくテレビを見ていたのだが、たまたまMステがやっていた。 買った16茶を飲みながらぼんやりみていると、トークがまばらなバンドの4人組が出ていた。 まぁどうせCD1枚売れるか売れないかで消えていく気持ち悪いバンドだろう。 冴えないトークと困るタモリ。 曲が始まった。 掻き鳴らすギターと、激しく走るドラムの音。 びっくりしているサキにロックは飛び込んできた。 ヴォーカルはガナリ声で、時々激しくタンバリンを叩く。叩く。叩く。 ベースは低音を激しく震わせ、ギターと戦う。 サキの心はドキドキと高鳴り、弾けないくせに指はギターの弦を弾いた。 曲が終わり、番組が終わってもテレビの前でサキは正座していた。 なんだかわからない。けど今まで全てなんとなくだったサキにとっては掴みかけた興奮だった。 「いつまでテレビみてるのよ!ご飯食べなさい!!」 母親に現実へ引き戻された。 あまり母親をまたせると、カラムーチョを食べたから食欲がないだのなんだの、理由付けされぐだぐだと言われるので、足早に居間に向かった。 サキは初めてロックの洗練をうけた。14歳の夏だった。。。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加