勇者LEVEL3

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昨日山田に会ってしまったためにサキは学校に行くのが少し憂鬱だった。 走って逃げてしまったこと、本当はコーラが飲みたかったこと、カラムーチョでニンニク臭かったんじゃないかと気にすること。そんなことはさらさら頭中にない。 ただ、昨日山田とたまたま会って話しかけられてしまったこと。これが憂鬱な原因なのだ。 しかも朝からキャベツの味噌汁か。。。胃液がのぼってきそうになりながら低血圧のサキは青白い顔で家を出た。 サキはこれといってクラスで目立つわけではない。だからといって暗くてキモいっていうタイプでもない。 仲間外れにされるわけではないが、あえて誘ってくる友達もいない。 そう、ライクアローリングストーンだ。 そんなサキも女子であるからもちろん男の子を意識しまくっている。足元をすくわれないために普通を装っている。 話しかけられれば愛想わらい、自分からはけして話しかけない。 いつでもクールにすかしていた。 今にも崩れてしまいそうな緊張感を押さえながら。。。 そんななか山田に話しかけられてしまったのだ。 しかもサキの妄想ストーリーの中では、もしかしたらクラス1番のモテ男、山田は実はクールなサキが好きでいつも激しい恋心と戦っている予定になっているため、手の平で転がしてやる位の勢いなはずなのだが。 サキは下手に話しかけられたらどうしよう。クールにやり過ごせるか。そんな小さな事で気を重くしていた。 きっとサキは選ばれた勇者なのだ。 ただまだ時ではないのだ。時がくれば、輝かしい冒険がはじまるのだ! 角を曲がると山田を中心に野球部員たちが4人前から歩いてきた
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