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月が見下ろす、街を見下ろせる丘に
首なし男が首を手に一人座っています。
首なし男は、丘を見下ろす月を、手に持つ首に見上げさせてぽつり呟きました。
「赤い月、赤い月
今夜は気狂いが大喜びだ」
風が吹きぎしりと音がし、おや、と首を掲げくるりと回し周囲を見やると、さっきまで何もなかった丘の木にぶらり吊られた首吊りがいました。
首なし男は首吊りに語りかけます。
「やあやあ、良い夜ですねえ
赤い月が気狂いに狂気を囁きかけて、気狂いが狂気に身をゆだね地を血で染める。
こんなに良い夜は久しぶりだ
そうお思いになりませんかね?」
首なし男から首吊りの表情は伺えませんが、首吊りが笑っているように思えます。
首吊りからの返答はありません。
間が開き、首なし男は気づきました。
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