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舌打ちをして私から離れた水瀬くん。綺麗に染められた銀髪が少し揺れ、目にかかっている前髪の下にあったタレ目がちの丸い瞳と目が合ったのでニコッと笑いかけてみせると、あからさまに嫌な顔をされた。
……もう既に嫌われたみたいだ。
攻撃的な性格とは対象に可愛らしい童顔フェイスの彼は、女子も羨みそうなプックリとした少し厚みのある唇を突き出して…フイと顔を背けた。
──いや、可愛いな。
「…で?北ちゃんのとこ、行きたいって?」
「え……どこにいるか知ってるの?」
風間くんがあまりにフランクに話しかけてくれるので、こちらも打ち解けた口調で答えてしまう。
「おい、風間……まさか連れていくとか言わねぇーよな?」
「なんで?別にいいやん、行きたいって言ってるんやから。」
「いや…コイツ、潔木のこと知らねぇんだろ?余計なことして怒らせたら…危ねぇーだろ。」
「楓ちゃんは優しいなぁ…そんなん、自己責任やろ。俺はただ、道案内するだけ。」
風間くんは緩いウェーブのかかった茶色の髪を揺らしながら私を振り返り「案内したるわ」と、切れ長の瞳を細めて微笑んだ。
後ろ髪が肩につきそうなミディアムヘアで、前髪はセンターパートで分けられている。
大人びた雰囲気の彼は関西弁を話すせいか…何だか同じ年の男の子には見えないほど落ち着いた印象を受けた。
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