鏡の双魂

2/6
前へ
 /6ページ
次へ
 四年生になり十歳の誕生日を迎えた僕は、ある程度扱える魔法も増えていた。そこで、今までいくつか試した魔法の中で、一番うまくいきそうな魔法『ヴェラミラージュ』を試してみることにした。鏡に真実を映し出す魔法だ。すると、未熟な僕の魔法ではその効果は一瞬だけだったけど、鏡の向こうの自分の後ろに何かがいるのが一瞬見えた。それはまるで、魔女のような姿で……。 「気のせいじゃ、ないよね……」  僕はゴクリと息をのんだ。鏡の向こうに、本当に双子の片割れがいるのなら? そう考えると僕の心臓の音はどんどん大きくなった。  小さな頃から感じていた違和感は、気のせいではなくて本物だったと確信した僕は、次の休日を利用して家に帰ることにした。 ◇  久しぶりに家に戻った僕は、鏡の話を切り出した。お父さまとお母さまは顔を見合わせると、どこか重い空気の中で話を聞いてくれた。そして、僕が魔法で見た魔女の姿を伝えた瞬間、お母さまの目が大きく見開かれた。 「そんな……まさか……」  お母さまの声は震えていて、隣のお父さまも小さくうめくように息を吐いた。しばらく沈黙が続いた後、お父さまがゆっくりと口を開いた。 「我々は魔女に騙されていたんだ。……鏡の向こうにいるのは、お前の双子の弟のカイムだ」 「双子……!?」 「お前たちが生まれる前のことだ。占い師の振りをし近付いてきた魔女に『双子は不吉だ』と言われ、信じてしまった。おそらく、お前たちの強い魔力を手に入れようとしたのだろう」  魔女の『双子を離し一人を鏡の向こうに住まわせれば、ふたりとも幸せに暮らせる』という言葉を信じ、生まれたばかりのカイムを渡してしまった。どうしてあの時疑わなかったのだろうと、お父さまは悔しそうに言った。お母さまは、幸せに暮らしていると信じていたのにと泣き崩れた。  話を聞いたの僕の頭の中は、もうぐちゃぐちゃだった。双子の弟のカイム。魔女。鏡の向こうの世界。全部が本当なら、僕がずっと話しかけてたのは……。 「今日はここまでだ。お前も疲れてるだろう」  僕が懸命に情報を整理しようとしていたら、お父さまはそう言って僕の肩をポンポンと叩いた。そして、お母さまを支えるようにして部屋を出て行った。ひとり残された僕は、お父さまから聞いた話を何度も繰り返し思い出していた。  次の日、改めてお父さまとお母さまとこれからの話をした。僕が小さな頃から、鏡の向こうに映るのは自分の双子の弟だと思って、いつも話しかけていたという話をしたら「なにか感じるものがあったのかもしれないね」と驚いていた。  魔女に気付かれないように、今までと変わらず僕が鏡に向かって話しかけ、変化がないか注視していくことになった。 「ただいま、留守番させちゃってごめんね。君がいなくて心細かったよ。やっぱり一緒に行けばよかった」  寮に帰った僕はさっそく鏡を手に取り話しかけた。一日離れてただけなのに、ずっと会えなかったみたいで寂しかった。でもいつものように鏡を手に持ったら、やっと気持ちが落ち着いてきた。僕は鏡の向こうの弟のことを思いながら『絶対助け出すから待っていてね』そう心に誓った。

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加
広告非表示!エブリスタEXはこちら>>