邂逅

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 地下の駐車場内を点々とした照明が照らしだしていた。  よどんだ空気が立ち込めていた。  駐車場内のエレベーターが下降してきて、扉が開いた。  エレベーターの中から男が現れた。  男はパウダーブルーのスーツ姿に青白く頬のこけた顔をしていた。  冷たい印象の男だったが顔立ちは美しかった。  エレベーターの扉が閉まり、スーツの男が歩きだそうとした時だった。  それに合わせて駐車場の奥から駆けてくる足音が聞こえる。  暗がりの奥から別の男が駆け出してきた。  暗がりの中から駆け出してきた男は黒い革のライダースジャケットにジーンズを履き、右手には抜き身の日本刀を握っていた。
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