弐 大切な人たち

36/41
前へ
/77ページ
次へ
「女湯の会話盗み聞きするなんて、やーい聖仁のむっつりスケベ野郎!」 キヒヒと悪い顔をした瑞祥さん。 またそんなこと言って。お風呂から上がったらどんな報復を受けることになるのやら。 その時、男湯の方から「よし皆、攻撃用意」と聖仁さんが声を上げる。 攻撃用意? 「よーし……撃て!」 みんなの笑い声と雄叫び声が重なった次の瞬間、天井の空いた部分から大量のお湯がバシャンッと降ってきた。 頭から被った私たちが悲鳴をあげると男湯に歓声が湧いた。 「この野郎〜ッ! 巫寿、入口にあったホース蛇口に繋ぐぞ!」 「ちょ、ホースは反則でしょ!」 「聖仁さんこっち水鉄砲あります!」 なんでお風呂場に水鉄砲があるの……。 男湯も女湯もツッコミ不在で、壁を隔てた水かけ戦争が勃発する。やがてお風呂のお湯が半分減ったところで和平条約が結ばれた。 泡風呂のお湯で遊んだせいで壁中泡だらけになっているけれど、これ千江さんに叱られないだろうか。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

387人が本棚に入れています
本棚に追加