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即座に彼女の居場所を辿る。どうやら、彼女は自分の研究所にいるようだ。
あの研究所は人避け策が施されている上に、古代転移防止結界が張られている。直接中に転移することは難しい。
彼女ならば古代転移防止結界すらもすり抜けられそうだが、今のリューティスはまだその領域に達していないのだ。
彼女の研究所の前に転移すると、丁度、扉の前に彼女が出てきたところだった。
「ほれ、入れ」
「はい、失礼いたします」
自分と同じ顔をした彼女は、玄関の扉を開け、リューティスを中へと誘った。
リュカアリアの研究所に足を踏み入れるのは、これで三度目である。前回来たときよりも、雑然としているように見えるのは、気のせいだろうか。
奥のソファーとテーブルがある部屋に案内される。洞窟から横穴を掘るように作られているこの研究所の壁や天井はすべて岩石だ。しかし、不思議と圧迫感を受けることはない。天井がやや高く、物の量に対して空間が広いためだろうか。
「紅茶でいいかのぅ?」
「はい、ありがとうございます」
リュカアリアはテーブルの脇に置かれているティーセットを手に取り、紅茶をいれはじめた。癖の少ない華やかな香りが漂う。あの屋敷に漂っていた甘ったるい匂いが上書きされていく。頭の奥に感じていた頭痛が少しずつ引いていく。
小さく息を吐き出すと、リュカアリアがちらりとこちらを見た。
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