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Kanar ienvogel
金糸雀の行動の中に「お父様」への思慕はない。実際にはそういう感情もあるはじだが、外からはうかがいしれない。それよりも彼女には「みっちゃん」のほうが大事だ。 翠星石たちを襲ったのはアリスになるためでなく、薔薇乙女全員と仲良くなりたいみっちゃんのためだし、それもローザミスティカを奪うのではなく「まいったと言わせて、家来にする」という実にかわいらしい発想である。 彼女はひょっとしたら雛苺よりも戦いから縁遠いかもしれない。 「頭脳派」を自称しているのは、あわよくば戦わずして利益だけ得たいという態度のことかもしれない。そういう意味では確かに合理的で、知的ではある。実際の成果については、はなはだ疑問だけれど、、、、、。「カナが動かなくなったらどうする?」 と訊いたら、みっちゃんが泣いた。アリスゲームが進めば、誰かが泣く。 みっちゃんの涙が、それに気づかせてくれた。 それまでは頭の中の想像だけで「戦う戦う」と言っていたけれど、戦うことがどういう事か、みにしみて知った。これからの金糸雀のさえずりは、あまり中身がなかったこれまでとは、少し違って響きはじめるはずだ。
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